栃木県立宇都宮東高等学校附属中学校入学試験
子供が栃木県立宇都宮東高等学校附属中学校(以下宇東附中)を受検しました。
(宇東附中の場合、「受験」でなくて「受検」を使用します。)
例年、合格倍率は4倍程度です。東京ほど受験戦争は加熱していませんが、合格には対策が必要です。
そこで、私が1年間に渡り行ってきた受検対策を紹介したいと思います。
- 意志を確認する
- 受検を知る
- 傾向を知る
- 己(子供)を知る
- 対策方針を立てる
- 対策を行う
- 気持ちの整理をさせる
一つひとつ解説します。
1.意志を確認する
最初に子供の意志を確認します。
これから長い受検勉強が始まります。小学生と言えば、学習の習慣がついておらず、せいぜい学校の宿題をするくらいだと思います。
しかし、受験をするとなると、学校の宿題以外の学習を自主的に行わなければいけません。これがなかなか大変です。約一年間モチベーションを維持するために、ご家族でしっかりと意志を共有しておきましょう。
我が家の場合ですが、子供から「受検したい」との意志がありました。
私「1年間大変だけど、(子供)が頑張るなら全力で応援するよ」
みたいなことを言ったと思います。
宇東附中合格に必要なこと、それは親の覚悟です(のちに出てきます)。「全力で」応援しましょう!
受検対策のはじまりはじまり。。。
2.受検を知る
志望校のことを知らなければなりません。
宇東附中は県立の中高一貫校です。合格倍率は約4倍。4人に1人しか合格しません。公立高校の合格倍率は約1倍です。これは心して臨まなければいけません。
そこで、過去問から試験内容を確認します。
このような過去問題が書店に並びます。
我が家では10年分を購入し、入試傾向をつかみました。
3.傾向を知る
ホームページや過去問で入試傾向を調べます
宇東附中の問題は、筆記+作文です。
- 理科・社会の文章読み取り問題がある→基礎学力が必要
- 問題文が長い→読解力が必要
- 地図や電車(時刻表)の問題がある→論理的思考力が必要
- 作文は600字
一般的な4教科ではなく、①文章問題による国語力、②図表を用いた最適解を導く問題による数学力、③日常生活を取り上げた問題による理科力、④社会問題を取りあげた問題による社会力
このようにして、受検生の学力を総合評価している。と思いました。
4.己(子供)を知る
受検する当事者、我が子について客観的に評価します。
私は、塾講師や家庭教師の経験がありますが、学力は学習量に比例しないと思っています(傾向はあります)。塾講師の経験として、毎回一生懸命に取り組んでいるのに、なかなか理解できない子は一定程度いました。この理由に関しては脳科学の専門家にお任せします。
宇東附中の倍率は約4倍です。つまり4人中3人は不合格です。75%の割合で、わずか12歳の小学生に不合格という結果が与えられることになります。親は数10年の人生経験があるので、「仮に不合格でも公立に行けばいい」「合格すれば儲けもの」くらいの気持ちかもしれませんが、当事者である子供は、そのように受け入れられるでしょうか。この部分は親の責任として十分に考えてほしいと思います。
宇東附中の場合、比較的理数的な能力が必要な問題が多いと感じます。基礎学力は備わっている前提で、図形を頭のなかで回転させたりする空間認識力、物事を順序だてて説明する論理的思考力(最近ではプログラミング的な問題が出る傾向があります)、ひらめきなども必要に思います。
12年間、我が子を育ててきた親として上記能力を見極めてください。そして受検するか否かを判断しましょう。
5.対策方針を立てる
受検当日までの大まかな計画を立てます。
| 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 1月 |
①受検の意志確認 | ▽ | | | | | | | | | | | | |
②日本語力の基礎固め | | ▽ | | | | | | | | | | | |
③基礎学力醸成 | | | ▽ | ▽ | | | | | | | | | |
④基礎学力養成(学習塾) | | | | ▽ | ▽ | ▽ | ▽ | ▽ | ▽ | ▽ | ▽ | ▽ | |
⑤過去問(筆記) | | | | | | | ▽ | ▽ | ▽ | ▽ | ▽ | ▽ | |
⑥過去問(作文) | | | | | | | | | | ▽ | ▽ | ▽ | |
⑦試験 | | | | | | | | | | | | | ▽ |
①受検の意志確認…1.で説明したとおりです
②日本語力の基礎固め…文章の読解や作文、面接など試験には日本語が基本です。文法について最初に確認しておく必要があると思いました。
③基礎学力醸成…宇東附中試験は、単純な計算は出題されません。理科や社会の問題も題材となります。小学生としての常識力を身につけておく必要があると考えました。
例えばこのような本を解きました。
試験問題を読んでから解答までの時間を短縮するためです。
「設問に対しどのように考えればよいか。」を見つける時間が長いと焦りにつながります。この力を養いました。
他にはこんなもの。
5教科どんな分野の問題が来ても外さないためです。
日常生活における一般常識のおさらいです。小学生は意外と知らないものです。
④基礎学力養成…受検対策として学習塾の力も借りました。学習塾が培っている受検についての情報を得るためです。
⑤過去問(筆記)…基本的には過去問を解けるようにすればよいと考えていました。ただし、小6に集中力はないと思い、毎日1問1問ていねいに説明していこうと考えました。そのため、夏頃から少しずつ進める計画です。
⑥過去問(作文)…過去問の作文は10年分で10題あります。1問/週で解くことを考え、逆算して10月から始めました
この受検対策基本計画のポイントは、少しずつコツコツと進めることで、いつの間にか学力が向上し合格レベルに達している。本人にとって受検勉強を嫌な体験にしない。ということです。
6.対策を行う
過去問対策では、具体的にどのような毎日を過ごしたかを説明します。
※ここが最も重要なポイントです。
過去問は大問5問/年×10年分=50問あります。
1問/日で解いても50日かかります。正答率50%として、解き直しに25日、合計75日つまり2.5ヶ月かかります。
私は月~金まで仕事をしています。子供と向き合えるのは帰宅後になります。
子供は16時帰宅。塾のある日は19時帰宅です。
以上の条件の中で効率よく過去問対策を進めるために、以下のようにしました。
| 日曜日 | 月曜日 | 火曜日 | 水曜日 | 木曜日 | 金曜日 | 土曜日 |
朝 | なし | (親)事前解答 | (親)事前解答 | (親)事前解答 | (親)事前解答 | (親)事前解答 | なし |
夕 | なし | (子)解く | (子)解く | (子)解く | (子)解く | (子)解く | なし |
夜 | (親子)作文解説 | (子)学習塾 (親子)解説 | (親子)解説 | (親子)解説 | (子)学習塾 (親子)解説 | (親子)解説 | (子)作文 |
自分の自由時間は犠牲にしてください。受検優先です。親の覚悟が必要とはこのことです。受検は受検者本人だけのイベントではありません。家族全員のイベントです。親の姿勢が子供にも伝わります。たかだか1年弱です。覚悟を決めましょう。
まず、問題を解かせる前に自分で考えます。どんな問題か?どこに注意すべきか?何を問うているか?などを事前に確認しておきます。これは出勤前に行います。私は当時、個人的な事情で4:30に起きていましたが、4:00起きに早めました。
そして、今日解く問題に印を付けます。このとき、注意点などを書き添えておいても良いでしょう。(子供)は帰宅後、印の付いた問題を解きます。
自分の帰宅後に答え合わせをします。一度解いているので時間はかかりません。そして正解でも不正解でもその問題について話し合います。考え方が重要なので、どのように考えてそう答えたのか。こういう考え方もあるよね。こう考えたらもっと簡単に解けるよね。など。。。
でもここはけっこう難しいです。親子関係だとお互いワガママが出てきます。親に説明させると往々にして子供は素直に聞き入れません。塾の先生と同じことを言ったとしても、反抗したくなっちゃうんでしょうね。反抗できるだけ良い親子関係が築けているとプラスに捉えましょう。親も実の子供に対しては、早く学力向上してほしいと、つい語気が強くなってしまいます。塾の生徒と実の子供では責任が違いますよね(失礼ですが)。
我が家でも何度も何度も衝突しました。子供の機嫌は悪くなり、私もついムキになり…
でも親の受検に対する姿勢が明確になっていれば、子供に伝わり、根本の部分で分かり合えます。その日のうちに仲直りできます。一緒に同じ「合格」という目標に向かって進んでいれば大丈夫です。
これを毎日繰り返します。
(実際にはこの他に、塾での宿題や模擬試験の復習なども行っています。)
作文の学習は難しかったです。私が理系なもので。。。
そこで論理的に作文力を上げるために以下の方針で作文対策をしようと考えました。
- 解答例を読む→どのような解答が高得点かを理解する
- 解答例を書き写す→作文の長さの感覚を得る
- 設問の解答がどこに記述されているか、赤線を引く→設問に沿った解答の重要性を理解する
- (子供)の場合の題材を決める→経験談は説得力があがる。引き出しを増やす。
- 実際に書いてみる
- 自分の作文の中のどこに設問の解答が記されているか、赤線を引いて確認する
- 字数内で清書する
これを土曜日に行い、事前に添削しておきます。そして日曜日に解説します。一日経つと客観的に作文を読めるので、時間を空けるのは効果的です。
そしてここで使用した原稿用紙は全てファイルしておきます。(後で役に立ちます)
7.気持ちの整理をさせる
試験日は例年1月初旬。令和4年は1月8日でした。合否発表は1月13日。
いよいよ受検が近くなってきます。子供にとっては初めての試験です。当然緊張してきます。
受検の敵のひとつは緊張により本来の力が発揮できないことです。私は、試験では実力の8割くらいしか発揮できないと思っています。つまり、
- 8割でも合格できる力をつける
- 8割以上の力を出せる対策をする
ことになります。そこで、
- に対しては、前述のように急場の力をつけるのではなくコツコツ学習して実力を上げる
- に対しては、緊張感を取り除くことを行いました。
具体的には、これまでの学習を振り返り自信をつけさせます。これまで解いてきた問題集、繰り返し行った過去問、塾での模擬試験など、たくさんの対策を行いました。
作文については、ファイルしてある原稿用紙を見せます。10年分×2回(解答作成と清書)=20回分。600文字/回×20回=12,000文字の作文を作ったことになります。これだけの作文を作ってきたことを説明してみましょう。きっと自信につながります。(画像は1回ずつ綴じてあるので40枚程度ファイルされています)
これで、(子供)の緊張が取れたかどうかは本人しかわかりませんが、「備えあれば・・・」ということです。
これが奏功したかはわかりませんが、1月13日に合否通知が発送され、翌日念願の合格通知を受け取りました。
以上、我が家の受検対策記録でした。おしまい。